皆さんも、運動に関して体育の先生や部活動の監督・コーチから指導を受けのではないでしょうか。

    私は、小学生から高校まで野球をしており、多くの指導者から指導を受けてきました。
    当時は、指導者の指導レベルなど気になりませんでしたが、スポーツトレーナーとして活動する今となっては、指導者のスキルは非常に重要だと感じています。
    そして、指導スキルで最も重要なことは「伝え方」です。

    例えば、“走る”や“投げる”動作に対して「お腹に力をいれて、脚でしっかり踏ん張って、軸がぶれないように体を捻る」と言われても、瞬間的な動作や繰り返される動作の中で、一つひとつ意識することは難しいでしょう。
    そのため、「意識動作」から「無意識動作」にすることが、動作改善の本質だと私は考えます。
    では、どのようにして「意識動作」を「無意識動作」にしていくのでしょうか。

    目次

    1.意識性の原則

    2.「意識動作」から「無意識動作」

    3.無意識動作を引き出すポイント
    (1)例えて伝える
    (2)真似をしてもらう
    (3)予備疲労法(プレエグゼーション法)

    まとめ

    1.意識性の原則

    トレーニングには、切っても切り離せない原理と原則があります。

    原理

    • 過負荷の原理:体が慣れている以上の負荷でトレーニングしましょう
    • 特異性の原理:目的に合ったトレーニングを行いましょう。
    • 可逆性の原理:筋力や体力の維持・向上するには、継続的にトレーニングしましょう。

    原則

    • 全面性の原則:体の上下左右バランスよくトレーニングをしましょう。
    • 漸進性の原則:筋肉の成長とともに徐々に負荷の強度を上げましょう。
    • 反復性の原則:トレーニングは反復して行いましょう。
    • 個別性の原則:性別・年齢・身体組成・体力レベルなどを考慮して個人にあったトレーニングを行いましょう。
    • 意識性の原則:トレーニングの意味を理解しましょう。

    トレーニングにおいて最も重要な 原理・原則 の中に“意識性”の原則があります。
    この意識性の原則とは、なぜトレーニングをするのか、何のためにトレーニングを行っているのかを理解するということです。

    例えば、ただスクワットをするのではなく、スクワットは下半身を鍛える種目で、特に大腿四頭筋(太もも前)、ハムストリングス(太もも後ろ)、大臀筋(お尻)を鍛えていることを意識しながら行うことが重要・・・ということです。

    そして意識性の原則には、続きがあると私は考えます。
    それは“無意識へ移行すること”です。
    意識して正しい動作や姿勢ができるようになった先には、無意識に自然と正しい動作や姿勢が作れることが理想です。

    ※トレーニング原理・原則に関しては、ブログ「筋トレを効率的・効果的に行うコツ」で詳しく紹介しておりますので、是非ご覧ください。

    2.「意識動作」から「無意識動作」

    “意識性の原則”で、トレーニングの理解や動きの中で使う筋肉への意識が重要だとあります。
    トレーニング時にどの筋肉をどのように動かすかを意識することは重要ですが、日常生活や競技中に「ここの筋肉をこう動かして」なんて考えていられません。

    歩行動作を例にすると、
    片足軸のバランス、体幹のバランスと回旋、腕の振り、踏み込み脚の着地から後方への蹴り上げなど全身の筋肉を連動的に動かして完成する動きです。
    これらをすべて、歩行時に意識することができないため、腰や膝などに負担がかかり怪我をするのです。
    しかし実際は、動きの連続の中でこれらを意識することは、現実的には困難です。

    そこで重要なのが「無意識動作」です。

    例えば、歩行時に骨盤のぶれがあり不安定な人は、中臀筋(お尻の筋肉)という片脚軸になった時に骨盤を安定させる働きのある筋肉が正しく使えていない可能性があります。
    このような場合は、片脚軸になった時に中臀筋がつかえるように、片脚でスクワットをするワンレッグスクワットをするとよいでしょう。

    最初は、中臀筋を意識してワンレッグスクワットを行いますが、動作を習得すると意識しなくても片脚になった時に体が自然と中臀筋に力をいれてバランスをとろうとします。
    これが無意識動作です。

    ワンレッグスクワットのやり方
    1. 片脚で直立姿勢をとる
    2. 1.の時に片脚軸のお尻を締めるようにして動作開始
    3. 片脚で股関節と膝関節を同時に曲げて膝が90°の位置までしゃがむ
    4. 90°までしゃがんだ地点から立ち上げる
    5. 3.と④を繰り返す際に、中臀筋をつかって左右のぶれがないように注意する

    ※正しい動作や姿勢に関しては、以下のブログで詳しくご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

    ファンクショナルトレーニングで症状を根本解決
    正しい姿勢のために悪い姿勢を理解する
    ヒップアップは歩くだけで出来る!

    3.無意識動作を引き出すポイント

    (1)例えて伝える

    動きの説明を例えて伝えるとよいでしょう。
    例えば、「肩甲骨を寄せる」ではなく「胸を前に突き出しましょう」と伝えると、胸を前に突き出すと肩甲骨は連動して内側に寄ります。

    その他にも、スクワットの説明を「股関節と膝関節を同時に曲げてしゃがみ込みましょう」ではなく、「椅子の立ち座りや高くジャンプするようにしゃがみ込みましょう」という表現で伝える方が、難しく考えずに動作ができます。

    その人に合わせて例え方や伝え方を変えるのも重要です。

    (2)真似をしてもらう

    指導者が正しいお手本を見せて、その真似をしてもらうのもよいでしょう。
    言葉では難しく聞こえるが、いざお手本を見ると頭でイメージができるため、シンプルに真似をするのも良いでしょう。

    (3)予備疲労法(プレエグゼーション法)

    予備疲労法(プレエグゼーション法)とは、高重量のトレーニング種目を行う前に他のトレーニングで事前に狙う筋を疲労させる追い込み系のトレーニングテクニックです。
    その他にも、メインの動作前に使う筋肉へ先に刺激を入れる方法としても使用できます。

    例えば、2つ以上の関節を動かす多関節運動(スクワット、ベンチプレス、プッシュアップなど)は、複数の筋肉を同時に使用するため、筋肉への意識が難しくなります。
    そのため、多関節運動前に1つの関節しか動かさない単関節運動を行うことで、あらかじめ狙いたい筋肉刺激を刺激しておくことができます。

    例えば、スクワットで大腿四頭筋(太もも前)の意識を強めたい場合に、レッグエクステンション(座位姿勢で膝を伸ばすトレーニング)を行うということです。

    予備疲労法(プレエグゼーション法)を無意識動作に活用する場合は、トレーニング中に腹筋の力が抜けてしまう人には、あらかじめ腹筋種目を実施してお腹に力を入れる意識を強めておくことができます。

    まとめ

    トレーニングの目的は人それぞれあり、目的によってトレーニングプログラムも異なります。
    なぜトレーニングをするのか、どうすれば正しい動作や姿勢が保持できるのかを理解することは大切です。
    しかし、究極は意識しなくても自然と正しい動作や姿勢が保持できることです。

    トレーニング動作だけでなくトレーニング習慣に関しても、最初は意識して週1回はジムに通うところから始まりますが、気が付けば歯磨きやお風呂に入るくらい、当たり前のようにトレーニングが習慣化されていることが最終ゴールとなります。

    “可逆性の原理”や“反復性の原則”でもあるように、トレーニングは短期間頑張るだけではいけません。
    継続することが重要です。
    動作も習慣も「意識から無意識に」レベルアップしましょう

    この記事を書いた人

    株式会社ミリオン・フィットネス  
    代表取締役 林 界斗

    NSCA-CPT : NSCA認定パーソナルトレーナー
    NASM-PES : 全米スポーツ医学協会認定パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト
    カイロプラクティック整体院 トレーナー
    運動特化型デイサービス トレーナー

    「健康をテーマに運動を通して一人でも多くの方へ幸福を捧げたい」と思い、ミリオン・フィットネスを創業。お客様をはじめトレーナーへの指導、さらにラジオ番組においても運動指導をおこなうなど、アスリートから一般の方、子供から高齢者まで、幅広いお客様のご期待に添うべく活動している。
    主な出演:ABCラジオ「全力投球!!妹尾和夫です。サンデー」、FM守口「疋田哲夫の哲ちゃん”哲学”」

    ミリオン・フィットネスは、大阪 肥後橋のリピートが多い 予約貸切制のおしゃれなコンディショニング・パーソナルジムです。

    ダイエット・ボディーメイク・姿勢矯正はもちろんのこと、肩こり・腰痛・膝痛・ストレス・疲れやすい・健診数値などの改善を、トレーニング & リカバリーケア & ニュートリション の3点からサポートいたします。

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